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地震観測データに関する研究活動上の不正についての会長声明News & Topics

 地震観測データに関する研究活動上の不正について、本年3月15日に大阪大学より調査結果が発表されました。主著者によるデータのねつ造および改ざんが認められた論文5編に加え、ねつ造や改ざんが強く疑われる論文が17編あったとの報告に強い衝撃を受けました。

 本学会が運営に関わるEarth, Planets and Space誌や本学会に深い関係を持つ米国地震学会の発行するSeismological Research Letters誌に掲載された論文のデータにも不正が確認されたことは、きわめて遺憾であると言わざるを得ません。このような不正行為は、地震学の発展に極めて深刻な負の影響を与え、地震学に対する社会の信頼を失墜させるだけでなく、不正なデータの使用により社会の安全・安心に対する脅威ともなり得ることを深く心に刻む必要があります。

 日本地震学会は、かねてより「地震学者の行動規範」を制定し、学会員に対して遵守を呼びかけることにより、地震学の知識の質を保証するとともに、地震学者個人及びコミュニティーが社会から信頼を得るための不断の努力をしてまいりました。主著者は日本地震学会の会員ではなく、指摘を受けた論文の中には会員が共著者として加わっているものもありましたが、大阪大学の調査で共著者については不正行為への関与は認められませんでした。しかし、地震学の研究分野でこのような事件が発生したことを私たちは重く受け止めなくてはなりません。私たちは科学に対する真摯で誠実な態度が学術発展に向けた基本姿勢であることを再確認するとともに、私たちの研究活動は社会からの信頼と付託を前提としていることを想起し、このような不正が発生せぬように常に心がけなければならないと考えています。

 ここに日本地震学会長として、本件の調査を実施し、結果を公表された大阪大学関係者および調査委員会の皆様に敬意を表するとともに、学会員に地震学者の行動規範の遵守を改めて呼びかけ、地震学に対する社会からの信頼を取りもどすべく努力してまいります。

2019年3月22日

日本地震学会会長
山岡 耕春

関連リンク

地震学者の行動規範 

大阪大学における研究活動上の特定不正行為に関する研究公正委員会調査結果 

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