日本地震学会ジオパーク支援委員会の発足のお知らせOrganization

ジオパーク支援委員会委員長 平松 良浩
理事(普及行事担当) 中川 和之

 今年度より日本地震学会にジオパーク支援委員会が発足することとなりました。日本各地のジオパークの活動を支援することは、行動計画2012における提言「地震学の現状を一般市民の目線に立って社会に伝えていくとともに、地域防災への貢献及び社会からの要請を受け止める場となることを目指す」ことの具体化とその手段の多様化を実現するものです。これまでもジオパークについては、「ニュースレター」や「なゐふる」で紹介されていますので、ご存知の方も少なくないと思います。本稿ではジオパーク支援委員会の発足に至るまでの経緯について紹介します。

 日本におけるジオパークの活動は、2008年に正式なスタートを切りました。日本地震学会には、同年1月に日本地質学会の「ジオパーク設立推進委員会」から、支援体制の構築と日本ジオパーク委員会(JGC)への委員の推薦の依頼があり、当時の理事会で支援を決定しました。地震学会名誉会員の尾池和夫京大総長(当時)は、JGC事務局を担った産業総合技術研究所の招聘により、委員長に就任しました。また、ジオパーク候補地でこどもサマースクールを開催した実績を踏まえて、地震学会からの委員として中川和之普及行事委員長(当時)を理事会で推薦しました。

 当初、世界ジオパークネットワーク(GGN)のガイドラインに自然災害への言及がなかったことが理事会では大いに議論になりました。このため発足したばかりのJGCでも、日本でジオパークを審査するにあたっては、世界のガイドラインに準拠しつつ、防災の視点を加味することが必要という議論をした上で審査に臨みました。2008年6月、ドイツで開催された第3回ジオパーク国際会議では、新たに組織参加した日本からの提案で大会宣言に 「geohazard」という言葉が加わりました。その後、日本地震学会では、2013年度まで理事会推薦で、中川普及行事委員長をJGCに委員として推薦し、間接的な支援活動を続けてきました。

 2014年度、日本地震学会に「地震学を社会に伝える連絡会議(以降、連絡会議)」が発足し、連絡会議の下にジオパークワーキンググループを置き、JGCの委員推薦はワーキンググループの推薦に基づいて理事会が決定する形になりました。JGCも各学会から2名の推薦となり、尾池和夫名誉会員と、中川和之理事(普及行事担当)が引き続き務めています。

 連絡会議では、2008年から求められていた日本地震学会としての支援体制についてワーキンググループにて検討を行いました。2016年度はジオパーク支援委員会の発足に向けて、少人数のメンバーからなるジオパーク支援委員会準備ワーキンググループを設置し、日本地震学会としての支援活動について具体的な検討を行いました。また2016年には、JGCが日本ユネスコ国内委員会から登録審査業務の権限を持つ機関であると正式に認証されました。それらを受けて、ジオパーク支援委員会準備ワーキンググループでは、JGCに関係する5学会(日本地質学会、日本地理学会、日本第四紀学会、日本火山学会、日本地震学 会)で唯一支援組織が無かった日本地震学会においても、連絡会議から独立した組織としてジオパークの支援体制を確立する必要があるとの結論に至り、2017年度から正式な常置委員会にすることを理事会に提案し承認され、発足することとなりました。

 この間JGCでは、国内で43地域、156市町村のエリアを日本ジオパークとして認定し、うち8地域がユネスコ世界ジオパークと認められました。

 また、日本地震学会内での活動としては、2014年の日本地震学会秋季大会(新潟)後、ジオパークワーキンググループメンバーを中心に糸魚川世界ジオパークの巡検を行い、同時に起きたばかりの長野県北部地震も同ジオパーク関係者の案内で視察を行いました。社会活動基金の事業として、「三陸(2011年東北地方太平洋沖地震)」や「栗駒山麓(2008年岩手・宮城内陸地震)」、「阿蘇(2016年熊本地震)」のジオパークで住民セミナーを実施しました。地震火山こどもサマースクールや教員サマースクール、教員免許状更新講習でも、ジオパークを題材とした講習を当該地域のジオパークの支援を受けて開催してきました。これらのセミナー、講習やジオパークの紹介記事は「ニュースレター」や「なゐふる」に度々掲載されています。2016年度には、ジオパーク支援委員会準備ワーキンググループによる、日本全国のジオパークに対するアンケート調査を行い、日本地震学会からの支援の必要性について確認しました。アンケート調査の結果や「阿蘇」の住民セミナーについては2017年度の地球惑星科学連合大会のジオパークセッションにて発表を行います。このジオパークセッションはJGC関係5学会からのコンビーナーにより運営されています。

 ジオパーク支援委員会では2017年度の活動として、(1)ジオパークに提供できる各研究機関のコンテンツやデータの調査、(2)ジオパーク専門員に対する勉強会の実施、(3)地震学会に対するジオパークのニーズ調査、(4)鹿児島秋季大会後のジオパーク巡検開催(熊本地震・阿蘇ジオパーク)、(5)地震学の学習機会を求めているジオパークへの専門家の派遣などを計画し、これらの支援活動により地震学の知識の普及と啓発、研究の促進に寄与することを目指しています。

 今後、ジオパーク支援委員会への参加者を公募いたしますので、ジオパークの支援活動に積極的に取り組みたい方はもちろん、これを機会としてジオパークに関わってみたいという方もぜひご応募ください。日本地震学会の会員の皆様には、地震学の現状を社会に伝え、地域防災への貢献及び社会からの要請を受け止める場を作るために、ジオパーク支援委員会の活動にご理解とご協力賜りますようお願いいたします。

(日本地震学会ニュースレター第70巻 第NL1号35ページ, May 10, 2017)

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