強震動地震学基礎講座連載にあたってPublications

強震動委員会委員長 入倉孝次郎

 地震被害の軽減は、地震に関する重要な研究課題のひとつであり、阪神淡路大震災は地震学および地震工学を研究する者に大きな課題を課した。兵庫県南部地震の発生から2年が過ぎた現在までに、強震動地震学の研究者は被害の原因を解明する ために精力的に研究を進め、多くのことを学んだと同時に、我々の知見が未だに不十分であることも思い知らされた。

 阪神淡路大震災は災害科学としての側面とは別の角度から我々強震動地震学の研究者に大きな問題を投げかけた。理学と工学の学際的な領域にある強震動地震学は構造物の被害に直接関わる問題を扱っているだけに、社会との接点としての役割が非常に大きいことを再認識させられ、同時に、今までに強震動地震学の研究成果を社会に還元するということに十分努力をしていたのであろうかとの反省をせまられたのである。

 強震動の特性が震源、伝播経路、地盤の3つの寄与から構成されていることは強震動地震学の研究者の間ではほぼ常識的な事実として受け入れられている。したがって、ある地点の強震動の強さについて考えるときには、それらの影響を考慮しなければならない。また、地震被害の原因について検討する際にも、それぞれの影響を定量的に調査して議論することが必要である。しかし、このことは分野の異なる研究者や社会一般にはまだ十分に知られていない状況にあり、多くの強震動地震学の研究者は強震動地震学の研究成果を学会内外の多くの方々に理解していただく必要性を痛感している。

 このような観点から学会内に強震動委員会が設立された。その経緯についての詳細はニュースレターで説明されている(Vol.8, No.1, pp.20-21)。委員会の設立の趣旨にしたがって、いくつかの活動が進められ、その中のひとつに強震動やその周辺の研究成果を分かりやすく紹介することを目的とした活動をする班が設けられた。この班の活動のひとつとして、強震動研究について基礎的な解説を行うこととし、ニュースレター紙面上に連載を始めることとなった。 この基礎講座では、強震動委員会のメンバーを中心にして強震動研究の第一線で活躍中の研究者の方に強震動に関する研究の最近の成果や耐震設計への応用に関する基礎的な事項について紹介して頂く。現在、予定している項目は以下のとおりであり、震源での地震波の発生から表層地質での増幅効果を経て、地震動が構造物に作用するまでの考え方についてアトランダムに連載していく。この他にも、その時々に話題となっているテーマについても解説していく予定である。

 なお、強震動研究に関するいくつかの総合報告が「地震」第46巻~第47巻(1993~94年)に掲載され、それらは冊子としてまとめられており(「強震動地震学・地震工学研究の現状と展望」、94年10月)、強震動研究の現状について知るには参考になる。現在、残部があるので、学会事務室に連絡すれば、実費で入手できる。

[強震動研究の紹介]

[強震動研究の成果の応用例]

[担当:強震動委員会調査班2、山中浩明(東工大総合理工)]

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