地球惑星科学関連学会合同大会に関するアンケート報告(2000JAN)Organization
はじめに
地球惑星科学関連学会合同大会は1999年大会で10回目となり、参加者2000人という大きな大会になりましたが、様々な問題も抱えています。差し迫っての問題は2001年大会をどのように開くか、特に実行委員会(LOC)をどのように構成するかということです。地球惑星科学関連学会連絡会では、それも含めて今後の合同大会のあり方に関する議論を行っています。地震学会でも合同大会のあり方に関して建設的な意見を出していくため、将来検討委員会を中心に議論しています。
大会・企画委員会ではこの問題に関して会員の意見を広く聞くため、アンケートを実施しました。まず、理事・評議員にはそれぞれのメーリングリストを通じて回答を依頼しました。ニュースレター第4号にはアンケートを掲載し、回答を呼びかけました。さらに、秋季大会会場でも回答を呼びかけ、会場での回答も受け付けました。
11月26日に締め切られたアンケートには、84名の方々からのご回答をいただきました。ご協力にお礼申し上げます。
ここではその集計結果を報告します。今回のアンケートの結果を、各方面での議論にご活用いただきたいと思います。
回答者プロフィール(カッコ内が回答者数を表します)
年齢構成 |
(0)10-19 |
(13)20-29 |
(32)30-39 |
(27)40-49 |
(9)50-59 |
(2)60-69 |
(1)70- |
身分 |
(7)学生 |
(77)学生以外 |
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集計結果
【質問1】あなたは現在の合同大会の規模を維持した方がよいと思いますか?
(27)合同大会のメリットを生かすために、規模は維持した方が良い。
(47)運営に支障をきたすような規模になっているので、縮小した方が良い。
(10)その他
- あまりメリットが生かされていないと思うので合同にする必要はないと思う。
- 個人的には規模を維持してほしいと思っている.
- 縮小するよりは、2年に1回程度で良いと思う。
- 重荷になっているのであれば、元気が出てくるまでやめにする。
- 地球惑星科学の発展には必要不可欠。
- 関連セッションの重複、「総会」の重複が避けられないのであれば縮小した方がよい。逆に重複を避けるために期間を延ばす手もある。
- 運営に支障を来すというよりは合同でやるメリットが無くなっているので、贅肉を落とすようにした方がよい。
- 世話役に負担がかかりすぎているという声を聞く。合同であることで世話役の負担が増えるのであれば合同にしておく必要はない。規模についてもどうように、世話役をする人が受け入れられる程度の負担でとどまる規模に押さえるべきであると思う。
- アメリカではAGUとSSAが独立して大会運営を行っている。AGU(学会連合)として組織化された団体が存在しているからである。今の合同大会の運営は、個別の学会の寄せ集めにもなっていない状態で(合同学会を組織しようとする動きも止まってしまった状況で)、大会の運営だけを合同している、真に変則的な大会でである。そのことにより、大会運営の困難さばかりではなく、個々の学会の運営にも支障をきたす現実がある。提案:(1)合同学会を組織する。大会は合同学会の運営とする。(2)前提案に至る移行措置として、合同大会はシンポジウム形式のスペシャルセッションだけにとどめた運営を続ける。(3)前2つの提案が、実現できないなら、合同大会は止める。
- 止める方が良いと思います。
- 地震学会独自にした方がよい(合同学会から離れる。)
(解説)合同大会の規模については、何らかの形で規模を縮小した方が良いという意見が5割強、地球惑星科学の発展にはこの規模を維持することが必要不可欠という意見が3割強あった。
【質問2】規模を維持するとすれば、あなたは運営をどのようにしたら良いと思いますか?
(11)現行のようにLOCの労働奉仕によって費用を抑える。地震学会がLOCを担当するときは労力を提供しても良い。
(53)業者委託を進めるための費用負担増はやむを得ない。
(14)その他
- 規模の維持には反対であるが、合同大会の規模の縮小し、地震学会がLOCを引き受けるのであれば、労力を提供しても良い。
- 維持するのには賛成ではないが、維持するとすれば業者委託しかないであろう。現在のように規模が大きくなった理由は、諸学会が労力を惜しんで楽な相乗りにのったためだと思う。それ故、各学会がLOCを担当するとは思えない。負担増は参加者を減らし、規模は減ると予想する。
- 現状の規模をそのまま維持するのには反対。
- 現行といっても今年の合同大会はかなり委託をすすめたのではなかったか?LOCを各大学の請負制にしているからだめなのではないか?参加各学会からきちんと実行委員を出すべきである。
- 規模は維持しない。
- 現在の規模を維持する必要はないと考えるので回答無し。
- LOCの人数を増やす。
- 現在では、公費による参加費・投稿料の支出が可能になっている。
- 現状維持には反対。
- 学会を法人化するのは、地震学会単独では無理でも、事務=学会開催の総務的事業をきちんとこなせる事務のプロ、経理のプロを確保する道を開くという目的があったはずです。何のために法人化したのでしょうか?合同であろうが、単独であろうが、事務の素人ばかりのLOCでは、もはや参加人数的に無理です。そして、費用を押さえるために、学会開催期間+数日動員するアルバイトを「指揮」できる事務屋さんを学会に迎えることが、必要なのでは?指揮官がちゃんといれば、LOCの受け手は合同であろうが、WPGMであろうが、現れます。(合同の場合は、ほかの学会から、手数料稼ごう。)
- 業者委託で大会運営費ばかり上昇し、それを我々が負担しなければならない。そのような合同大会を開催しても、それぞれの分野での学会活動や研究活動に愛着や意欲/責任感が沸いてくるものだろうか?科学の飛躍的なシンポは常に少数派から発生し、巨大化/肥大化した組織が生み出すものはない。運営が行き詰まっている大会を経費の増大だけによって解決しようとするのは愚かしい。
- 運営は合同大会を組織する別学会を設立して行う。
- 規模は今の地震学会程度が適当。合同はデメリット大。
(解説)規模を維持するとすれば、業者委託を進めるための費用負担増はやむを得ないという意見が約7割を占めた。このことから、合同大会の運営がLOCのボランティアではもはや困難であるという状況は認識されているものと考えられる。
【質問3】規模を縮小するとすれば、あなたはどのようにして縮小したら良いと思いますか?
(27)固有セッション的なセッションはなるべくなくして共通セッションのみとする。
(40)合同大会は学会間で共通性の高いシンポジウムに絞って行う。
(15)その他
- 合同大会は2年に一度とする。
- 合同大会は学会間で共通性の高いシンポジウムに絞って行い、4年に1度程度開催する。
- あるいは合同大会の頻度を減らす。
- 規模を縮小すれば、おそらく「合同大会」は維持できない。
- 共通セッションを組めるような学会同士で、合同学会を分割再編成することが望ましい(無理そうですが)。
- ・共通セッション中心にし、固有セッションを減らす。・固有セッションはレビュー色を強めて、他学会からの参加のメリットを高める。
- 現状の合同大会的なものは数年に1回程度でよい。参加学会が増えれば増えるほど規模の縮小は無理でしょう。
- 地震学会とは別の独立した学会が開催する体制をめざす。
- 毎年ではなく隔年もしくは3年程度に1回開催してはどうか。合同にする必要のないものまで無理に一緒にすることはない。固体地球物理に関係するものに絞ってはどうか。─地球化学は含む
- いくら絞っても、発表がないと旅費が出ない聴講希望者が多数いるので、規模は縮小しないで、増加する一方だと思います。
- 大会参加者の意識が低く、意義を見出せない会員が多いなら、合同大会は止める。
- 縮小は意図的にしない。参加費と、投稿料を課せば、自ずと参加者数と発表数は減少する。
- no idea.
- 規模は縮小しない方が良い。
- 規模は今の地震学会程度が適当。合同はデメリット大。
- 回数を減らす。
(解説)規模を縮小する方法としては、学会間で共通性の高いシンポジウムに絞るという意見が約5割で最も多かったが、共通セッションのみとするという意見が約3割、合同大会の開催を数年に1度にするという意見が約2割あった。
【質問4】地震学会会員は以前は春季・秋季2回の地震学会で発表の機会がありました。あなたは年2回の発表の機会は確保すべきだと思いますか?
(37)確保してほしい。
(47)合同大会は該当する共通セッションがある場合に発表する。地震学会としては基本的に年1回確保されていれば良い。
(解説)基本的に年1回確保されていれば良いという意見が5割強、年2回確保してほしいという意見が4割強で、意見が2つに分かれているのが現状である。
【質問5】合同大会に引き続いて、または合同大会とは別に地震学会春季大会を開催しようとすると、費用・会場・地震学会LOCの負担などの問題が出てきます。あなたはこれをどのように考えますか?
(11)費用負担増には応じられないので、会員が順番にLOCを担当するようにして春季大会を開く。自分も地震学会LOCとして労力を提供しても良い。
(15)地震学会も業者委託を進めてLOCの労働奉仕を軽減し、春季大会を開く。そのための費用負担増はやむを得ない。
(44)費用・会場・地震学会LOCの負担などの問題があるので、春は合同大会のみとするのが良い。
(11)その他
- 秋季大会との兼ね合いがある。秋季大会だけ現状のボランティアLOCで運営して、春季大会だけ業者委託するのはいかがなものか。もし、業者委託するのであれば、春季と秋季の両方を同時にすべきであろう。その場合、多くの会員がその負担に耐えられるであろうか?当面、ボランティアLOCで運営するしかないであろう。但し、合同大会と異なり、地震学会春季大会は大会参加費を徴収しない、参加登録しないとすれば委託費も少なくなるであろうから、業者委託の可能性も探るべきであろう。
- 地震学会春季大会を開催すれば、合同大会への参加者の激減が予想され、地震学会が合同大会に参加することの意義そのものが危うくなるものと考えられる。
- 元々、各学会が自前で開いていた春の大会を、合同大会任せにし、投げ出している現状が問題である。以前のように、各学会が自前で春の大会を開催するつもりで、合同大会の費用や労力を考えるべきである。現状で、他学会にそのような認識が薄いのならば、地震学会として独自の春の大会を検討すべきである。その場合、費用の負担増も止む終えないと思う。
- 春は縮小してシンポジウム形式にする、インターネット上で開催する、総会のために春の開催が必要なら秋を縮小または廃止して春を通常規模で開催する、などの工夫をする。それらの中で業者委託も考慮する。質問7の回答に書いた理由で、「合同大会」との関係は特に考慮する必要なし。
- 業者委託をした場合、どの程度の費用が発生し、そのうちどの程度の金額を地震学会で負担するのかわからないまま回答することはできない。
- 地震学会全体としての費用負担・作業支援は地震学会春季大会のみとし、合同大会は地震学会としては参加せずセッション毎の参加にとどめ、それへの参加者+希望者が合同大会への費用負担・作業支援を行う。
- 合同大会を秋に行い、春は各学会の独自大会とする。
- 合同大会を開催しない年をどうするかという設問がないのはおかしい。この場合には春季大会を開催しても構わない。LOCの負担が大きければ業者委託を進めるのもやむを得ない。
- 秋に合同大会を開き、総会での決算承認のために、春に地震学会を開く。
- 地震学会だけの大会運営は、合同大会とは異なり、十分にLOC(学会メンバーの少ない大学でも)で運営できる。現に、メンバーがいなかった福井でも開催したし、岐阜/神戸/弘前などなど、少数のメンバーが大会を運営してきている。そのことにより、大会を運営する側も、大会に参加する側も、学会活動により一層の親近感や学問に対する愛着が生まれれたと確信する。
- 合同大会は限られた共通テーマのみとし、従来からと同じ方式の地震学会だけの春季大会を開催する。合同大会にはほとんどメリットがない。
- 合同大会に参加する人が多いのであれば、年1回の地震学会開催でよい。
- 地震学会(春、秋)のみでよい。
(解説)地震学会春季大会の開催は、費用・会場・地震学会LOCの負担などの問題があるので難しいとする意見が5割強を占めるが、春季大会を開くべきという意見も約3割ある。春季大会を開く場合には、費用負担増もやむを得ないとする意見がやや多い。
【質問6】以上を総合的に考えて「●具体案」に示した開催方式案のうち、受け入れられるものはどれですか?
現行の規模を維持する案
(3)大学が回り持ちでLOCを組織し、労働奉仕で費用を抑える(現行方式)
(1)学会間でLOCを組織し、労働奉仕で費用を抑える
(6)大学が回り持ちでLOCを組織するが、業者委託をさらに進める
(16)学会間でLOCを組織し、業者委託をさらに進める
現行よりも規模を縮小する案
(16)固有セッション的なセッションを削るが、地震学会春季大会は開催しない
(3)固有セッション的なセッションを削り、別に地震学会春季大会を開催する
(16)合同大会はシンポジウム形式にし、別に地震学会春季大会を開催する
(23)合同大会は何年かに一度とし、その他の年は地震学会春季大会を開催する
(解説)現行の規模を維持する方式に約3割、規模を縮小する方式に7割の支持があった。規模を縮小する場合には、何らかの形で地震学会春季大会を開催するという意見が多数を占めたが、合同大会の規模を縮小する方式については意見が分かれた。最も多かった意見(3割弱)は、「合同大会は何年かに一度とし、その他の年は地震学会春季大会を開催する」というものであるが、この案に対する支持が飛び抜けて多いわけではない。一方、現状の規模を維持する方式として支持が多かった(約2割)のは、「LOCは学会間で組織して業者委託をさらに進める」というものであった。
【質問7】その他、合同大会のあり方に関してご意見がありましたらお書き下さい。
- 現状の合同大会の運営が大変なのは理解できるが、この2~3年の大会参加費の高騰や会場の混乱ぶりは参加者の利便よりはLOCの都合を優先していたように思う。一方、LOCはボランティア精神だけでは不可能な極めて過大な仕事を負わされて、参加者とLOCの両者とも不幸であったのではないか。最大の原因は規模の大きさである。また、全てを共通セッションにすると言う発想は、各学会が自らの会員に研究発表の場を提供すると言う学会本来の責任を果たさない(果たせない)状況を作り、本来学会が考えるべき「会員の利便」が置き去りにされ、その責任の所在が極めて曖昧になった。この状況では誰が会員(参加者)の利便性をフォローするのであろうか?上記のことから、合同大会を当初の姿に戻し、無理なく運営できるようにするのが良いと思う。合同大会は真に合同ですべき極少数のセッションまたはシンポジウムを行い、地震学会は自ら主催して(自らの責任で)、春季大会を合同大会と時期と会場を近づけて(両方出席する人の利便性を考えて)開催するのが望ましい。もし、他学会の会員が地震学会に参加したいと言うのであれば、それは拒まずにオープンにしても良いのではないか。各学会がそれぞれの分野を責任を持って開催することになれば、合同大会の担い手は格段に増え、今よりLOCの一人あたりの負担は減る。
- なお合同大会を2年に一度としても業者委託は必要でしょう。地震学会としては合同大会を放棄することができないのであれば積極的にコミットしていく方がいいと考えます。基本的には大会やシンポジウムというものはお祭りなので(大会での発表が成果だと考えているいまどき珍しい脳天気な人はいないと思いますが)参加して楽しければいいのだと割り切るべきです。逆に楽しくないものを無理にやる必要はないということです。
- とにかく大きくなって弊害が目立つ。共通セッション形式にしても、シンポジウム間の調整が見られないもの(プログラム編成に携わったことがないので無責任ですが)だから、よく似たテーマのシンポジウムが別会場、同時間で開催されるということもある。 研究者としての最終的な生産物の一つである論文の生産が合同大会などでの発表数に比例して増えているかといえば、そうとも言いがたい。私が入っている学会の学会誌の論文投稿が減っているし、EPSの固体関係の投稿数も少ない。変な話であるが、合同大会では、共通セッションのみにして論文投稿を義務付ける、という形にすれば、途中経過はまだしも、プロジェクトの計画紹介だけ、といった発表が減って、もう少しスリムにできるのではないか?要は、各人の意識の問題ではあるが…
- 合同大会の際に各学会の総会が一斉に同じ時間帯で行われることの問題点を指摘する声があまりないのは不思議である。地震学会員の中には、測地・火山ほか複数の学会に所属し、役員も兼ねている人が数多くいると思うが、現状では学会員としての権利と義務を、あるひとつの学会に対してしか果たせなく、毎回悩んでいるのではないか。 これも大きな問題点であり、合同大会の重大な短所であると思う。
- もともと私のやっている分野が学際的な分野であり、地下水そのものがいろんな学会で少しずつやられている分野なので、年に1回の合同大会は大変助かっています。逆に地震プロパーの人は不満が溜まっているのですね。ただ、準備が大変なことは認めますし、負担できる費用や労働が限界にきているのなら、合同大会を2年に1度程度にするのは仕方ないことかもしれません。
- 実際に学会間での交流が合同大会を通してさかんになっているようにはあまり見えない。本当に他分野との交流をはかろうとする研究者は、各自でそのような機会を作っていると思うので、合同大会にそれを求めすぎるのはどうかと思います。
- なぜ、合同大会は春と決まっているのでしょうか?総会にかかわる問題は春=地震学会、秋=合同大会とすれば解決すると思います。10回を区切りに変えるとか…。何か事情がおありとは思いますが、このアンケートの説明には記されていないようなので、事情を良く知らないままに勝手な意見を書きました。
- まず、地震学会員にとっての合同大会への参加意義をもっと議論する必要があると思います。予稿集が使いものにならない(CD-ROM)割に、お金ばかりかかる合同大会に多くの学会員が参加・発表するのは、それまで地震学会が年2回開催されていたという経緯のみに依っていると言わざるを得ません。地震学会に固有的なセッションを削ってもなお、他学会の会員との議論を求める人が集うべき場が、合同学会なのではないでしょうか?現状は、それぞれの学会が同じ敷地内で別個に学会を開いているのに近い状態であるため、いたずらに肥大化しています。結果として、地震学会固有セッションで発表する会員は、秋季大会とくらべ待遇が悪いと不満を唱えるようになると思われます。対策としては、地震学会固有セッションは削り、秋季大会と<内容の差別化>をはかることだと考えます。ただ、その際に共通セッションで活躍できる学会員は限られてしまうかもしれませんが。
- ・合同大会のメリット(上にも書いたが、他学会の情報を得ること)を全面に出して魅力的なものにして、地震学会会員の参加を増やすようにする。・同じような地震学会を年2回もやることは必ずしも必要なく、秋だけでよいのでは。春は合同大会として魅力あるものにする。・どうしても地震学会固有のセッションが必要ならば、例えばポスターの張り出しなど、現状で出来そうなことを工夫する。(通常のポスターセッションとは違って、基本的に貼るだけ。また、合同大会と競合しないように早朝、昼休み、夜間に議論するとか、意欲本意にやる。)
- 合同大会は、もともと学会連合を目指すという旗印のもとに、運営されてきたように思う。しかしながら、参加学会内では、そのような方向の議論は成熟せず、むしろ学会の独自性を重要視する意見が大勢を占めるに至っている。地震学会では、そのことが、法人化の動きとなって現れている。このような中で、現行の合同大会は、各学会が上記旗印をもとに、春の大会を投げ出してしまった結果をすべて引き受けるという誠に悲惨な形で残される結果となっているように思う。合同大会を今後継続する、しないを問わず、各学会は、もう一度、学会として春の大会を自前で実施するつもりになって、事に対処する必要がある。また、学会連合を目指す人たちは、既存の学会に寄りかかることなく、AGU的な組織を立ち上げ、そこに各学会の結集を呼びかけるという形をとるべきである。学会連合を目指す勢力、既存の各学会、ともに甘い考えを捨てない限り、合同大会の悲劇は継続すると思う。
- 開催方式案の中ではとりあえず、実施主体の負担が減るであろう数年に一回を選びましたが、他のオプションでもかまわないと思っています。多くの会員にとっては、きちんと議論の場が確保されれば、運営がボランティアであろうが、委託であろうがかまわないのではないでしょうか。セッションや総会の重なりが問題だと思います。基本認識のところで地震学会の2面性が強調されていますが、それは、他の学会にも言えることと思います。火山、気象、水文関係は自然災害と切っても切れません。地質だって地滑りは対象分野ですし、鉱業的な応用は切り離せないでしょう。測地学会も以前の評議員・橋本さんのメールにあったように産業的応用分野があります。地球電磁気だって磁気嵐による通信障害は大きな社会問題ですし、惑星圏の問題も人工衛星や宇宙開発を考えれば産業応用分野です。社会と全く関係ない自然科学関連学会なんてあり得ないのが実状ではないでしょうか。
- 会場で見ることのできない梗概集は意味がない。CD-ROMは論文ではないのだから、会議の後、2度と見ることはない。CD-ROMは止めて、簡単な紙の梗概集にしてほしい。
- 地震学という共通項をもった人たちで構成されるはずの地震学会が、「地球惑星関連科学」という(一部重なるにしても)別分野の学会活動に自動的に参加してしまう仕組み自体に無理がある。アメリカのAGUに当たるような別学会を有志で立ち上げ、そこが現在の合同大会にあたるものを開催し、地震学会は日程調整程度にとどめるべき。
- 地球全体のことを考えるのが大切であるのは良く分かりますし、合同大会の存在意義も十分に理解しているつもりです。ただ、現実問題として(個人的な利害が入りますが)学会色の薄い、大規模な大会に参加するのがかなり困難な(金銭的にも時間的にも)地震学会会員も居ります。 もし、合同大会を毎年続けるのであれば、本当に共通性の高いテーマについてのみ行う。削られてしまった固有セッション的なものはセッション毎に個別に、ごく小規模に(例えば、地震研の第1会議室を借りるなどして)研究集会を開催するというのは如何でしょうか。そうすれば、合同大会の規模は縮小され、負担軽減になる。年2回の発表機会は確保できる。また、どちらに参加するか(両方でも、片方でも)好きに選択できるので、現状に対する不満も多少減るのではないかという気がします。
- 現状では関連の深いセッションが同じ時間帯にあることが多いので、規模を縮小して同時に行われるセッション数を減らしてほしい。合同大会で固有セッション的なセッションを削りたいが、地震学会としての発表が年1回になってしまうので、同じ講演者が発表できる講演数を2件までにしてほしい。
- 現在は共通セッションがほとんどなく、単に複数の学会を同じ時期に同じ場所で開いているという感じになっている。このような状態であれば合同大会を開催する必要はない。いくつかの質問の中で、業者委託=費用増というような表現があるが、具体的にどの程度の費用なのか示されなければ回答のしようがない。
- 年々合同学会の規模が大きくなり、ボランティアによる運営は難しいと思っています。この問題を解決するために、参加者の費用負担増を求めることは適当だと思っています。学生などの参加費を安く押さえるなどの配慮は必要だと思います。
- 現行の合同大会のままでは、私自身を含む多くの地震学会員にとって合同でやることの意義があまりないように感じています。合同大会のセッションは複数の学会に関わるようなトピックに絞ることで、合同大会の巨大化を防ぐことができるでしょう。できれば地震学会の春季大会を開催した方が望ましいのですが、LOCや学会役員の負担を考えると、秋季大会のみでもやむなしと思います。最近は、テーマを絞ったシンポジウム等が地震研究所などで多数開催されていますから、研究発表の場が減ることは心配しなくても良いのではないでしょうか。
- 現行ではLOCを行った大学の人間は働き損になっている。LOC大学に十分なメリットがあるような仕組みにすべきである。また、毎年、東京で合同大会を開催するのは地方在住者にとって不便なだけである。LOCを大学持ち回りにするならば、(会場確保の難しさはあるが)その大学にとって至近な場所で行うべき。
- 参加者が高負担でも、参加する価値のある合同学会になり、切磋琢磨した研究発表が増えることで、より刺激的であってほしい。
- せっかくいろいろな分野の研究者が集まっているのですから、できるだけ共通のテーマを違った観点から議論できるような場を提供して欲しいと思います。
- 業者委託を積極的に進めるべきだと思う。参加費が上がるのは「やむをえない」という認識すら一般社会からずれている。サービスにはお金を払う、労働したらお金をもらう。いずれも当たり前のことではなかろうか。そんな当たり前のことを認識していなかったのが今までの大会(学会)なのである。参加費が上がるのが不満な輩には、人にタダ働きさせて恥ずかしくないのかと言いたい。
- 大学が回り持ちでLOCを組織するには限界があると思います。大学に所属している人間のみが地震学会員を構成しているのでなく、国立および民間の研究機関に属する人も地震学会に多く参加しています。今後は、学会員全員がボランティア精神を発揮して大会運営に貢献していく気運を盛り上げる必要があると思われます。
- 現行の運営方式上いたしかたがないが、開催地を全国的にならないように努力願いたい。
- 年に一回ずつ、学際的な大会と小さくまとまった大会とがある現状には基本的に満足している。参加費等の値上げはすべきだと考えるが、学生さんに対してはなるべく負担を増やさないで欲しい。
- 合同大会にはもちろんメリット・デメリットはあります。これまでに10年間合同大会が続いてきたことから、ある程度のメリットがあったと感じている会員が多いことかと想像します。 しかしながら、合同大会を組織する連絡会が、いつまでも各学会の屋上屋であることは極めて重大な問題なのではないでしょうか?地震学会などの各学会では、会費の値上げ、大会参加費についての諸議論を深く真摯に検討しているのに対し、合同大会の参加費の形状方法と参加者への説明、予稿集の販売など、会員側からの声がほとんど反映されない状況は不思議といわざるを得ません。合同大会がLOCなどの一部の人たちの献身的な努力によっていることは重々分かりますし、この方達を責めているわけではありません。これほど大規模な学会を企画するには、やはりきちんとした組織が運営方法を吟味する必要があるのではないでしょうか?そのためには、独立会計の別の学会を組織し、別会計で行っていくことが必要不可欠ではないでしょうか?すぐというわけにはいかないと思いますが、2、3年先を見越して、そのような別の学会を形成されることを強く望みます。
- 規模が巨大すぎる。やめるべきである。
- 学会は統合化して、経費や時間を節約してはどうか。
2000/01/11