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【日本学術会議】会長談話「日本学術会議法案の成立を受けて」の発出についてNews & Topics


連携会員、協力学術研究団体 各位

日本学術会議事務局

平素より大変お世話になっております。
今般、日本学術会議会長談話「日本学術会議法案の成立を受けて」が発せられましたので、下記のとおりご連絡いたします。

日本学術会議会長談話「日本学術会議法案の成立を受けて」

日本学術会議の法人化を内容とする、政府提出の「日本学術会議法案」については、6月11日の参議院本会議において可決され、成立しました。

国会における審議を通じて、日本学術会議は、4月15日の総会において採択された声明「次世代につなぐ日本学術会議の継続と発展に向けて~政府による日本学術会議法案の国会提出にあたって」及び決議「日本学術会議法案の修正について」に基づき、決議の趣旨、独立性、評価委員、法人発足時及び発足3年後の会員選考を含む会員選考のあり方、財政基盤等について、日本学術会議の考えを述べてまいりました。

国会においては与野党を問わず、これまで日本学術会議が示してきた懸念を中心とした議論が長時間にわたって行われたところであり、参議院においては、日本学術会議の懸念も踏まえた修正案が提出され、審議が行われました。日本学術会議の歴史や過去の活動を振り返りつつ、また未来を見据えて真摯に審議いただいた国会議員の皆様に改めて敬意を表します。また、この間、学協会及び連携会員をはじめ、多くの個人、団体から、法案への懸念が表明されることなどを含めて、日本学術会議への支援を賜りました。改めて御礼を申し上げます。

そもそも、今回の組織改革にあたっては、政府と日本学術会議が互いに議論し、科学者の代表機関である日本学術会議の意見が適切に反映される形での検討が行われることが、本来のあるべき姿でした。しかし、会員任命拒否問題など日本学術会議と政府の間の信頼関係が損なわれた中で議論が始まり、日本学術会議の独立性を損なうのではないかという懸念が払拭されないまま法案が国会に提出されたことの問題については改めて指摘しておかなければなりません。

結果として法案は原案のとおり可決され、日本学術会議が求めてきたような法案の修正には至りませんでした。法案の修正を求める旨の決議を行った日本学術会議としては、国会において日本学術会議の示してきた懸念に関する審議が行われていただけに非常に残念であります。しかしながら、衆議院内閣委員会及び参議院内閣委員会においては、それぞれの委員会を通じた審議を踏まえた附帯決議が採択されたところであり、会員の選任や科学的助言等、運営及び活動における日本学術会議の独立性、自主性及び自律性の尊重、必要な財政支援、日本学術会議が行う勧告、答申等の尊重等について国会の意思として明確に示されました。これらについては、今後の制度設計だけでなく、政府と日本学術会議の関係のあり方において極めて重要なものと受け止めております。そして、日本学術会議に対する指摘については、謙虚に受け止め真摯に対応いたします。

政府においても、法に基づく運用を行うに当たって、これらの附帯決議で示された内容を遵守し、会員の選任や科学的助言等、運営及び活動における日本学術会議の独立性、自主性及び自律性の尊重、必要な財政支援、日本学術会議が行う勧告、答申等の尊重等の点を十分に踏まえて対応することを強く求めます。また、衆議院及び参議院いずれの附帯決議にも盛り込まれた、令和2(2020)年の会員任命拒否問題についての説明責任を果たすこと、日本学術会議との信頼関係の構築に努めることとされた点についても、法に基づく法令の立案や運用に当たって日本学術会議との十分な対話を行うなど、改めて政府における誠意ある対応を求めます。

法案が成立した今、日本学術会議もまた独立性、自主性、自律性を確保しながらナショナルアカデミーとしての役割を発揮していくためになすべきことをなさねばなりません。声明では、76年の歴史を有し世界の学界と連携して学術の進歩に貢献してきた日本学術会議が、これまで引き継ぎ、そして発展させてきた理念や使命が変わらず存続するよう、我々科学者自身で確認し、国民、社会に向けて誓約する必要があることを述べました。それに加え、これからも学術の振興を通じて文化を育み、平和で豊かな社会を作り、安心して生き甲斐があり、健康で文化的な国民生活の維持増進に貢献していくことを、新たな日本学術会議法が成立した今、改めて表明いたします。

そのために、新たな法律の下での日本学術会議のさらなる発展に向けて、日本学術会議においても準備、検討を開始いたします。そして、日本学術会議が自ら主導することで、日本学術会議の継続性を確保し国民や社会の期待に応える制度設計を進めてまいります。また、準備に際しては、政府とのコミュニケーションを図ってまいります。

最後に、今次の日本学術会議のあり方に関する議論を糧として、組織改革だけでなく、世界及び国内の社会課題の解決に寄与しつつ、学術の更なる発展のために自ら行動し、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」及び「日本学術会議第26期アクションプラン」による自らのさらなる改革を進め、次世代へと引き継ぐことを国民、社会に対し約束するという我々の宣言に従って、今後、活動を進めてまいります。

令和7年6月12日
日本学術会議会長 光石 衛

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